「お盆」の季節、対象喪失を考える!
お盆のイラストです。懐かしさとフアンタージがありますね!
日本古来よりのお盆の行事。
ウィキペディアによれば
日本で夏季に行われる祖先の霊を祀る一連の行事。
日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事である。
かつては太陰暦の7月15日を中心とした期間に行われた。
亡き人の霊を祀るのですね。
亡き人と言えば、突然に大事な、親密な人を亡くしてしまう「対象喪失」について、事例をあげながら説明します。
母が「肺がん」に‥‥事例から
27歳、キャリアウーマンの加奈さんは
桜井加奈(仮称、以下同じ)さん、27歳のメーカー経理部で働く、入社5年目のキャリアウーマン。
多忙で時間外労働が月に80時間前後になります。
仕事人間である父親と専業主婦の母に、長女として大事に育てられました。
生真面目で責任感が強いタイプ。現在は夫と2人で生活しています。
昨年9月、58歳の母が肺がんに罹患しいることがわかったのです。
彼女に「女性は働き自立するのが大事よ!お母さんのような専業主婦ではダメ」とサポートしてくれた母親。
ショックであった。
父と交代で必死に看病をする。
職場の理解が得られず
上司に「母が肺がんなので看病をしたい。できれば仕事の負担を減らしてほしい」と希望したが、代わりになる人がいなかったので軽減されない。
「大好きな母だからしっかり介護をしたい」の思いが、仕事の都合でままならないのです。
「母へ申し訳ない」との気持ちが出てくる。
いっそのこと退職をしようと思ったが、父や夫から「せっかく、ここまで働き評価されたのだから」、「君は仕事が好きな人。辞めたら母さんは喜ばないよ」と言われた。
3ヵ月後に、母親の状態が悪化し、必死の看病で睡眠時間が4時間になった。
2週間後に死亡。
悔やみが‥
49日が終わった頃から、加奈さんに強い悲しみが襲ってきた。
母のことを考えると涙が流れ、「あの時、こうすればよかった。優しくしてあげれば・・・。悔やまれる」や「他人からお悔やみを言われると、悲しみが強くなる」との思いが続く。
どうしていいか分からない状態になったので、社内にある健康相談室を訪れた。
「対象喪失」は究極のストレス!
事例のように大切な人との生死別を「対象喪失」と言い、強いストレスになります。
母の死と過労、さらに性格も関与し、うつ病になったのです。
図に事例の悲哀の流れを示しました。
「悲哀には過程」がある
「対象喪失」のような極度のストレスに直面すると、「悲哀の4段階(イギリスの精神分析学者ジョン・ボウルビィが自己の研究に先人の成果を集約)」が生じます。
強い衝撃のために、感情・感覚が麻痺してしまい、茫然自失の状態が続きます。
無感覚・感情麻痺です。
次第に現実が見えてきますが「 大事な人の死」を認めることができません。
だから、「夢だ!嘘だ」のような否認します。
また「なぜ私だけが、こんな悲しみに合わないといけないの」の怒りがわき起こるのです。
怒りと否認のステップです。
日にちが経って現実が見えてくると受け入れざるを得ず、絶望します。
対処できない場合、「依存症の世界」に
多くの人は時間の経過とともに現実を少しずつ受け入れるようになっていきます。
それが難しい場合には、事例の加奈さんのように「喪の仕事(フロイトが創設)・再建の段階」と呼ばれるカウンセリングで乗り越えることができる場合と、図のように悲しみからの逃避としてお酒などの依存症に陥るパターン、あるいは、うつ病になる場合もあります。